炭化ケイ素(SiC)粉末を韓国へ輸入する際の要点は3つです。HS品目分類を正確に確定し、FTA協定税率適用のための原産地証明書を確保し、K-REACH等の化学物質規制を確認することです。SiCは2026年6月時点で中国の輸出管理対象ではなく、韓国の輸入規制(反ダンピング等)もないため、輸入自体の規制障壁は低くなっています。ただし、バインダー・焼結助剤が配合された造粒形態は品目分類が変わる余地があるため、事前審査が推奨されます。本稿は輸入前の準備から通関・入荷までを段階的に整理します。
免責事項:本稿は一般的な実務情報の提供を目的とし、特定取引の関税率・品目分類・法的判断を保証するものではありません。実際の輸入前には必ず関税士等の専門家の検証を受けてください。関税率と規制は時点により変更されうります。
ステップ1:HS品目分類の確定
SiC粉末の基本分類は**HS 2849.20-0000(炭化ケイ素)**であり、基本税率(MFN)は5.5%です。ここで実務上最も注意すべき点は、造粒(RTP)形態です。
純粋なSiC粉末は2849.20に分類されますが、プレス焼結成形用にバインダーと焼結助剤(カーボン・B4C等)が配合されたスプレードライ造粒体は「調製品」とみなされ、3824号に分類される余地があります。分類が変わると税率と規制適用が変わるため、造粒形態を輸入する際は関税評価分類院の品目分類事前審査を受けて分類を確定しておくのが安全です。SiC粉末の形態別の違い(角形破砕粉/スプレードライ造粒/プラズマ球状化)はSiC粉末の等級区分で詳しく取り上げます。
ステップ2:関税率とFTA原産地
基本税率5.5%の代わりにFTA協定税率を適用すれば、関税負担を減らせます。中国産SiCの場合は、韓中FTAまたはAPTA協定税率の適用を検討します。
協定税率適用の必須条件は**原産地証明書(C/O)**です。FOB契約ではC/Oの発行主体と費用を契約書に明記してこそ、後の紛争がありません。通関の観点でインコタームズと原産地書類をどう設計するかは、輸出管理時代の調達戦略のインコタームズ項目と併せて検討するのがよいでしょう。
ステップ3:K-REACH等の化学物質規制の確認
SiC(CAS 409-21-2)はK-REACH上の既存化学物質であり、これは新規物質としての登録手続が適用されないという意味です。この免除の範囲は、一読した印象より狭いものです。互いに別個の二つの義務を、自社の年間数量に照らしてそれぞれ確認する必要があります。
- 登録 — 既存化学物質のうち 등록대상기존화학물질(登録対象既存化学物質)に指定された物質は、当該物質に定められた数量の閾値を超えると登録義務が生じます。既存化学物質であるという事実だけでこの点が片づくわけではありません。SiCが現行の指定リストに載っているかどうかは、いずれの方向にも仮定せず確認すべき事項です。
- 年間の製造・輸入量報告(제조·수입량 보고) — 年間数量の区間に連動した別個の義務であり、登録義務が生じるかどうかとは独立に存在します。
上記の二つの韓国語の用語は、現行のリストを直接検索できるようそのまま記載しています。二つの義務は適用範囲も数量の閾値も異なるため、自社の年間輸入量をそれぞれに照らして確認し、初回出荷の前に化学物質規制の専門家または環境コンサルティングの検討を受けてください。SiCの輸入において、判断を読み違えると単なるコストではなくコンプライアンス上の責任が生じる項目は、これだけです。
ステップ4:梱包・輸送
SiC粉末は**非危険物(Non-DG)**であるため、海上輸送に特別な制約はありません。ただし微粉・造粒体は吸湿に弱いため、防湿梱包が重要です。
- 梱包:PEライナーを入れた25kg袋またはトンバッグ(FIBC)が一般的
- 吸湿防止:ライナー密封、必要に応じて防湿剤を同封
- 輸送:一般コンテナ(FCL/LCL)利用可能、危険物申告は不要
梱包単位とライナー仕様は入荷後の保管品質に直結するため、発注時点で供給社と明確に合意する必要があります。
ステップ5:入荷品質検証
通関・入荷が終わったからといって調達が終わったわけではありません。特に「グラニュール」として流通しながら、実際の形状・純度・粒度が仕様と異なる場合があるため、ロット別成績書(COA)の確認と、必要に応じて第三者試験(SGS/KTR/KICET)による二重検証が推奨されます。SEM/EDS・PSA・XRDを活用した検証の方法論は粉末品質検証の方法論で詳しく取り上げます。この検証を契約上で実効化する条項は、サンプルCOAではなく量産ロットCOA、国からの推定ではなく品目別原産地規則に照らして確認したFTA原産地証明書、そして書面での不合格条項です。このリストのうち一つだけは、交渉する条項ではなく確認しておく出荷上の事実です。当社のグリーンSiCマイクロパウダーのサブミクロン粒度は防湿梱包——アルミラミネートに乾燥剤——で出荷され、残りは契約書そのものに収めます。
輸入手続きの要約
- HS品目分類の確定(造粒は事前審査推奨)
- FTA協定税率および原産地証明書要件の確認
- K-REACHの二つの義務(登録と年間報告)を年間輸入量に照らして確認
- 防湿梱包・輸送条件の合意
- 通関後のロット別品質検証
よくあるご質問
SiC粉末の輸入に関税はどのくらいかかりますか?
基本税率(MFN)は5.5%です。ただし中国産の場合、韓中FTAやAPTA協定税率を原産地証明書とともに適用すれば関税を下げられます。正確な適用税率は品目分類と原産地により変わるため、関税士の検証が必要です。
造粒形態はなぜ分類が変わりうるのですか?
純粋なSiC粉末は2849.20に分類されますが、バインダー・焼結助剤が配合された造粒体は「調製品」とみなされ3824号に分類される余地があります。分類によって税率と規制が変わるため、造粒を輸入する際は品目分類の事前審査で予め確定しておくのが安全です。
SiCは輸入規制や輸出管理の対象ですか?
2026年6月時点でSiCは韓国の輸入規制(反ダンピング等)の対象ではなく、中国の輸出管理対象でもありません。ただし規制状況は変わりうり、品目仕様によって判断が変わりうるため、契約時点で最新状況を再確認するのが望ましいです。関連する管理状況は中国材料 輸出管理タイムラインをご参照ください。
K-REACHの申告は必ず必要ですか?
既存化学物質であることは、新規物質としての登録手続が適用されないという点のみを意味します。年間数量に照らして確認すべき別個の義務が二つ残ります。一つは登録で、既存化学物質のうち 등록대상기존화학물질(登録対象既存化学物質)に指定された物質が、それに定められた閾値を超える場合に適用されます。もう一つは別個の年間の製造・輸入量報告義務(제조·수입량 보고)です。SiCが現行の登録対象リストに載っているかは、既存化学物質という地位から推論するのではなく、リストに照らして確認すべき事項です。両方を自社の数量に照らして確認し、化学物質規制の専門家の検討を受けてください。
参考資料(公開情報)
- 韓国関税法令情報ポータル(CLIP)、HS 2849.20 品目分類
- 韓中自由貿易協定(FTA)協定文および原産地規定
- 化学物質の登録及び評価等に関する法律(K-REACH)
ここでの障壁は税率ではなく書類です — 造粒品は想定した税番に入らないことがあり、協定税率はそれを支える原産地証明書の分だけしか効きません。Nami Tech Solutions(NTS)は関税分類・原産地証明・インコタームズを十六年やってきた貿易実務として扱い、出荷前に各ロットのCOAを合意した仕様と照合して読みます。